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DTUと欧州パートナー、宇宙で初の金属3Dプリントを支援

May, 8, 2025, Lyngby--DTU Spaceは、宇宙で作られた世界初の3Dプリント金属オブジェクトの1つを発表した。この画期的な技術は、デンマーク産業連盟のイベントで初めて発表された。

4つの画期的な3Dプリントされた金属物体のうちの1つが、国際宇宙ステーションからDTUに移動した。これらの物体は、国際宇宙ステーションで無重力条件下で3D金属プリンタを使用して作成され、DTUの研究者によって設計された。

「これまで、宇宙で3Dプリンタを使って金属部品を作ってきた人はいなかった。われわれは、それが可能であり、デンマークとEUが新しい宇宙技術の開発の最前線にいることを示した。これは、宇宙ステーションを宇宙ベースの微小重力実験室にするという計画に非常によく適合している」と、DTU Spaceの教授であり、3Dプリンティング実験のデンマーク部分の科学リーダー、John Leif Jørgensenは説明している。

このプロジェクトは、エアバス社、ESA、デンマークの宇宙飛行士でDTUの非常勤教授であるAndreas Mogensenとの共同研究である。

デンマーク技術研究所などの専門家とともに、John Leif Jørgensenと同氏の同僚たちは、3D製品を綿密に調査し、地球上で作られた同様のオブジェクトと比較を始める。合計で、宇宙ステーションのプリンタで製造された金属物体はわずか4個。このようなものづくりが宇宙で行われるのは初めてである。プリントの1つはDTUに属している。

したがって、デンマークは、宇宙で金属物体を製造することが可能かどうか、またそれが望ましい品質で可能かどうかを世界で初めて調査した国の1つである。

未来のヨーロッパの宇宙技術の好例の一つ
DTUの学長Christine Nellemannは、デンマーク産業連盟(DI)でのオブジェクトのプレゼンテーションに参加した。同氏は、このプロジェクトを、デンマークとデンマークの研究者が新しい宇宙技術の開発の最前線に立っている方法の一例と見なしている。

「DTU、ESA、エアバスのこのコラボレーションは、当局、産業界、大学が同じ方向を向くことで、デンマークとヨーロッパで何を達成できるかを明確に示している。DTUは60年以上にわたって新しい宇宙技術の開発に携わっており、最大規模の宇宙ミッションのいくつかに信頼性の高いコンポーネントを提供できることを示してきた。そのため、今日のデンマークには約240社の宇宙産業があり、年間最大60億クローネを生み出している」(Nellemann)。

学長は、DIの教育・研究・多様性担当副所長であるMikkel Haarderによって補完されている。

宇宙で作られた金属製の物体を、地球からのコピーと比較
3Dプリントされた金属オブジェクト自体には何の機能もないが、DTUの設計は、無重力状態で金属を使用して3Dプリントするときに何ができるかの限界と可能性を明らかにし、探求するために作られている。

したがって、実験の目的は、宇宙での金属プリンティングプロセスがここ地球での製造とどのように異なるかを理解することである。宇宙での製造は、月や火星への長期ミッションなど、地球から機器を送り出すよりも速く、安価であることが証明されるかも知れない。

「この技術は、将来の宇宙旅行の重要な要素になる可能性がある。宇宙で直接部品や構造物を生産できれば、将来の宇宙探査における大きな新しいトレンドの1つになる」(John Leif Jørgensen)。

大きな可能性を秘めたコラボレーション
エアバスの宇宙技術部門は、3D金属プリンタをESAに納入した。その後、プリンタは2024年に宇宙ステーションに送られ、Andreas Mogensenたちによってコロンバスモジュールに搭載された。その後、宇宙ステーションのMogensenの後継者たちがプリントを制作した。

「宇宙ステーションのプリンタを使用して4つの金属製品の製造はスムーズに進んだ」(Mogensen)。

プリンティングには数週間かかったが、これはプロセスをできるだけスムーズにするためと、宇宙ステーションの宇宙飛行士が他の作業に時間を割くためでもあった。

「今では、DTUの専門家や研究者、およびパートナーが金属物体を詳細に調査することを楽しみにしている」(Andreas Mogensen)。

「このプロジェクトは大きな可能性を秘めている」(John Leif Jørgensen)。

「可能性は大きい。とりわけ、宇宙での重力の影響が最小限に抑えられているため、より大きな構造物を強くも非常に軽くすることもできる。つまり、必要な材料は地上で製造する場合よりも大幅に少なくて済み、宇宙で効率的で省資源の構造を作成するための新たな可能性が開かれる」。

「例えば、月面の基地に大型の太陽電池素子の構造をプリントすることが想像できる。または、完全で超軽量で資源を節約するソーラファームを製造することさえできる。そうすれば、宇宙で直接自分のエネルギー源を作り出すことができる」とJørgensenは語っている。