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金属3Dプリンタで低温メタネーション自己触媒反応器を開発

May, 8, 2025, 大阪--大阪大学大学院工学研究科KIM Hyojin特任助教、森浩亮教授、中野貴由教授、山下弘巳名誉教授、大阪大学超高圧電子顕微鏡センターの市川聡特任教授(常勤)らの研究グループは、レーザ金属3Dプリンティング技術と表面改質処理を組み合わせることで、ほぼ100%の選択性で、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を都市ガスの主成分であるメタン(CH4)に変換できる金属製自己触媒反応器の作製に成功した。

従来のルテニウム(Ru)触媒を用いて同等の活性を達成するには、20気圧の加圧が必要であるのに対して、この触媒は1気圧140ºCという低温において高活性・高選択性を示す非常に優れた特徴を有している。

さらに高活性なRu活性種の微細構造について詳細な調査を行ったところ、負に帯電した(Ti3O7)2-層が低酸化状態の孤立したRun+種(0 < n < 4)の生成と安定化を促進し、大気圧の穏やかな条件下でのCO2活性化を可能とするという学説を立証できた。

この研究成果は、カーボンニュートラルを指向した触媒分野のみならず、金属3Dプリンティング技術を基盤とした先進的なマテリアルサイエンス分野へも多大な波及効果をもたらすことが期待される。

この研究成果は、英国科学誌「Nature Communications」(オンライン)に、4月2日(水)午後6時(日本時間)に公開された。
(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp)