September, 12, 2024, Washington--精華大学の研究者は、前例のない高速で移動する物体を追跡するために使用できる新しい3D手法を開発した。シングルピクセルイメージングに基づくリアルタイム追跡アプローチは、自動運転、産業検査、セキュリティ監視システムの改善に使用できる。
「われわれのアプローチでは、物体の位置を計算するために物体の画像を再構成する必要がないため、データの保存コストと計算コストが大幅に削減される。具体的には、3D座標の取得に必要なストレージスペースはわずか6バイト、計算時間は2.4µs。計算コストを削減し、効率を向上させることで、高速追跡に必要な機器のコストを削減し、技術をより身近なものにし、新しいアプリケーションを可能にすることができる」と、中国の清華大学の研究チームリーダー、Zihan Gengは説明している。
Optica Publishing Groupの学術誌「Optics Letters」で、研究チームは従来のビデオベースの方法よりも200倍以上速い追跡速度を実証している。トラッキング方式は、事前のモーション情報を必要とせず、最小限の計算リソースで実行できる。
「この技術は、自動運転車などの技術の認識能力を高め、セキュリティ監視システムを改善し、産業検査のより効率的な監視と品質管理を提供する可能性がある。さらに、この高速位置推定技術は、昆虫の飛行軌道研究などの科学研究にも使用できる」(Geng)。
ユーザビリティの向上
シングルピクセルイメージングは、従来のピクセルアレイではなく、単一の検出器を使用して測定値を取得する計算方法である。通常、一連のパタンでシーンを照らし、対応する強度値を単一ピクセルの検出器で測定する。
物体追跡のためのより実用的な単一ピクセルイメージングシステムを作成するために、研究チームは、通常使用される直交法よりも効率的な非直交投影アプローチを実装した。これには、幾何学的な光のパタンを直交しない2つの平面に投影し、オブジェクトの位置を計算するために使用される3D座標を作成することが含まれる。また、非直交投影により、システム全体のサイズが小さくなり、組み立てや実装が容易になる。
高速トラッキング
シミュレーションを用いてこの手法を検証した後、チームは、アクティブ照明用の532 nmレーザ、光パターンを作成するための変調レート20kHzのデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、および光信号を収集するための2つのシングルピクセル検出器を含むシングルピクセルイメージングセットアップを使用して実験を行った。
追跡能力をテストするために、中央に穴が開いた金属球体を、光のパターンで照らしながら、重力下で湾曲したラセン状のワイヤーを下るようにした。検出器の信号を使用して物体の3D位置を計算し、座標系の回転を使用して物体の運動軌跡を計算した。このアプローチにより、変調レート20kHzのDMDで6667Hzのトラッキングレートを達成した。
研究チームによると、この技術の主要課題は、現在、単一の物体を追跡するためにしか使用できないこと。チームは現在、単一ピクセルのイメージングで複数の物体を追跡できる方法を開発している。