Science/Research 詳細

ファイバにマイクロオプティクスを3Dプリントし、安定したハイブリッドレーザ実現

January, 10, 2024, Washington--シュトゥットガルト大学の研究者は、3Dプリントされたポリマベースのマイクロオプティクスが、レーザ内部で発生する熱と出力レベルに耐えられることを初めて示した。この進歩により、安価でコンパクトな、安定したレーザ光源が可能になり、自律走行車に使用されるLiDARシステムなど、様々なアプリケーションに役立つ。

「3Dプリンティングを使用して、レーザ内部で使用されるガラス繊維に直接高品質のマイクロオプティクスを作製することで、レーザのサイズを大幅に縮小した。このような3Dプリントされた光学系を現実世界のレーザに実装するのはこれが初めてであり、その高い損傷閾値と安定性が強調されている」と、ドイツのシュトゥットガルト大学第4物理学研究所の研究チームリーダー、Simon Angstenbergerはコメントしている。

Optica Publishing Groupの学術誌「Optics Letters」に掲載された論文では、マイクロスケール光学系を光ファイバに直接3Dプリントし、ファイバとレーザ結晶を1つのレーザ発振器内でコンパクトに組み合わせた方法が紹介されている。その結果、1063.4nmで20mW以上の出力で安定した動作を示し、最大出力は37mWだった。

この新しいレーザは、ファイバベースのレーザのコンパクトさ、堅牢性、低コストと、さまざまな出力や色などの幅広い特性を持つことができる結晶ベース固体レーザの利点を組み合わせたものである。

「これまで、3Dプリントされた光学系は、主に内視鏡検査などの低電力アプリケーションに使用されてきた。高出力アプリケーションで使用できることは、リソグラフィやレーザマーキングなどに役立つ可能性がある。ファイバにプリントした3Dマイクロ光学系を使えば、大量の光を一点に集束させることで、ガン組織を精密に破壊するなどの医療用途に応用できることを示した」(Angstenberger)。

熱を取る
シュトゥットガルト大学の第4物理学研究所は、3Dプリントされたマイクロオプティクス、特にファイバに直接プリントする能力を開発してきた長い歴史がある。研究チームは、2光子重合として知られる3Dプリントアプローチを使用しており、赤外線レーザをUVに敏感なフォトレジストに集束させる。レーザの焦点領域では、2つの赤外線光子が同時に吸収され、UVレジストが硬化する。ピントを動かすことで、様々な形状を高精度に作成することができる。この方法を使用することで、光学系を小型化することができ、自由曲面光学系や複雑なレンズシステムの作成などの新しい機能も可能になる。

「これら3Dプリントされた素子はポリマでできているため、レーザキャビティ内で発生する大量の熱負荷と光学パワーに耐えられるかどうかは不明だった。驚くほど安定しており、レーザを数時間動作させてもレンズに損傷は見られなかった」(Angstenberger)。

今回の研究では、Nanoscribe社製の3Dプリンタを使用し、直径0.25mm、高さ80µmのレンズを、2光子重合法で同じ直径のファイバ端に作製した。これには、市販のソフトウェアで光学素子を設計し、ファイバを3Dプリンタに挿入し、ファイバ端に小さな構造をプリントするというものだった。このプロセスは、プリンティングをファイバに合わせるという点で非常に正確でなければならず、プリンティング自体の精度も必要。

ハイブリッドレーザの創製
プリンティングが完了した後、研究チームはレーザとレーザキャビティを組み立てた。かさばる高価なミラーで作られたレーザ共振器の内部に結晶を使用するのではなく、ファイバを使用して共振器の一部を形成し、ハイブリッドファイバ結晶レーザを作成した。ファイバ端にプリントされたレンズは、レーザ結晶に出入りする光を集束して集める。次に、ファイバをマウントに接着して、レーザシステムをより安定させ、空気の乱流の影響を受けにくくした。結晶とプリントレンズのサイズはわずか5×5 ㎠。

レーザ出力を数時間にわたって連続的に記録することで、システム内のプリントされた光学系が劣化したり、レーザの長期的な特性に影響を与えたりしていないことを確認した。さらに、レーザキャビティで使用した後の光学系の走査型電子顕微鏡(SEM)画像では、目に見える損傷は見られなかった。「興味深いことに、プリントされた光学系は、われわれが使用した市販のファイバブラッググレーティングよりも安定していることがわかり、その結果、最大出力が制限された」(Angstenberger)。

研究チームは現在、プリントされたオプティクスの効率を最適化するために取り組んでいる。最適化された自由曲面レンズと非球面レンズの設計を備えたより大きなファイバ、またはファイバに直接印刷されたレンズの組み合わせは、出力パワーの向上に役立つ可能性がある。また、レーザで様々な結晶を実証し、特定のアプリケーションに合わせて出力をカスタマイズできるようにしたいと考えている。

論文:S. Angstenberger, P. Ruchka, M. Hentschel, T. Steinle, H. Giessen, “Hybrid Fiber-Solid State Laser with 3D-Printed Intracavity Lenses,” Opt. Lett., Vol. 48, Issue 24, pp. 6549-6552 (2023).
DOI: https://doi.org/10.1364/OL.504940