September, 22, 2023, Sydney--研究チームは、合金と3Dプリンティングプロセス設計を統合することにより強力で張力がかかって脆くない新しい種類のチタン合金を作製した。
Natureに掲載されたこのブレークスルーは、チタン合金の用途を拡大し、持続可能性を向上させ、革新的な合金設計を推進するのに役立つ可能性がある。
その発見は、航空宇宙、生物医学、化学工学、宇宙およびエネルギー技術のアプリケーションにより、新しいクラスの持続可能なハイパフォーマンスチタン合金に有望である。
RMIT大学とシドニー大学(University of Sydney)は、香港理工大学(Hong Kong Polytechnic University)とメルボルンのHexagon Manufacturing Intelligenceと協力して、イノベーションを主導した。
RMITの主席研究者、Ma Qian特別教授によると、チームは設計に循環経済の考え方を組み込んでおり、産業廃棄物や低級材料から新しいチタン合金を製造するという大きな期待を生み出している。
「廃棄物や低品質の材料の再利用は、経済的価値を高め、チタン産業の高い二酸化炭素排出量を削減する可能性がある」と、工学部のRMITの積層造形センタQianはコメントしている。
チームが製造したチタン合金の種類
チームのチタン合金は、α-チタン相とβ-チタン相と呼ばれる2種類のチタン結晶の混合物で構成されており、それぞれが特定の原子配置に対応している。
このクラスの合金は、チタン産業の重要要素である。1954年以来、これらの合金は主にチタンにアルミニウムとバナジウムを添加することによって製造されてきた。
研究チームは、豊富で安価なα-チタン相とβ-チタン相の最強安定剤および強化剤の2つである酸素と鉄の使用を研究した。
Qianによると、従来の製造工程を通じて、強力で延性のあるα-βチタン-酸素-鉄合金の開発を妨げてきた2つの課題がある。
「1つの課題は、「クリプトナイトからチタンへ」(kryptonite to titanium)と呼ばれる酸素がチタンを脆くする可能性があること。もう1つは、鉄を添加すると、βチタンの大きなパッチの形で重大な欠陥につながる可能性があることである」
チームは、大きくて複雑な部品の製造に適した3Dプリンティングプロセス、レーザ指向性エネルギー堆積(L-DED)を使用して、金属粉末から合金をプリントした。
「われわれにとって成功へのカギは、合金設計コンセプトと3Dプリンティングプロセス設計の組み合わせだった。これにより、強力で延性があり、容易にプリントできる様々な合金が見極めることができた」(Qian)。
チームによると、市販の合金に匹敵するこれらの新しい合金の魅力的な特性は、その微細構造によるものである。
「この研究は、幅広く調整可能な機械的特性、高い製造可能性、排出削減の大きな可能性、および同類システムの材料設計に関する洞察を可能にする新しいチタン合金システムを実現である」と、共同主任研究者、シドニー大学副学長、Simon Ringer教授はコメントしている。
「重要な成功要因は、αチタン相とβチタン相内および相間の酸素原子と鉄原子の固有の分布である。
「われわれは、αチタン相における酸素のナノスケール勾配を設計した。強力な高酸素セグメントと延性のある低酸素セグメンにより、局所的原子結合を制御して、脆化の可能性を軽減できるのが特徴である」
研究成果の潜在的なアプリケーション
RMIT副学長の研究フェロー、論文の筆頭著者、Dr.Tingting Songは、チームは「ここでの新しいコンセプトの証明から産業アプリケーションへの大きな旅の出発点にいる」と話している。
「胸の高鳴りには根拠がある。3Dプリンティングは、新しい合金を作る根本的に異なる方法であり、従来のアプローチに比べて明確な利点がある」(Dr.Tingting Song)。
「われわれのアプローチを使用して、廃スポンジチタン-酸素-鉄合金、「規格外」のリサイクル高酸素チタン粉末、あるいは高酸素スクラップチタンから作られたチタン粉末を業界が再利用する潜在的な機会がある」
共同研究の後期にシドニー大学から香港理工大学に加わった共同筆頭著者、Dr.Zibin Chenによると、この研究はより広い意味を持つ。
「酸素脆化は、チタンだけでなく、ジルコニウム、ニオブ、モリブデンなどの他の重要な金属とその合金にとっても大きな冶金学的課題である」。
「われわれの研究は、3Dプリンティングと微細構造設計を通じてこれらの酸素脆化問題を軽減するためのテンプレートを提供する可能性がある」と同氏は、話している。