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3Dプリンティング×CO2吸収コンクリート

August, 21, 2023, 金沢--金沢工業大学(金沢工大)と鹿島建設株式会社(鹿島)は、両者の知見を活かしながら、建設分野向けのセメント系3Dプリンティングに使用する材料に、環境配慮型のCO2吸収コンクリート「CO2-SUICOM」の技術を取り入れる、「カーボンネガティブ3Dプリンティング」に関する研究開発を進めている。

金沢工大のやつかほリサーチキャンパス内の「KIT×KAJIMA 3D Printing Lab」(以下Lab)に、3Dプリンティングで造形した部材にCO2を強制的に吸収させるための「炭酸化養生装置」を設置し、環境負荷低減に貢献する建設物の製造実験を本格的に開始した。

2022年4月に、金沢工大のLabにロボットアーム式3Dプリンターを設置して、3Dプリンティングに適したCO2-SUICOMの配合や、3Dプリンターの制御方法等について研究を重ねてきた。その結果、これまでに複雑な形状をもった最大長さ5mの部材を造形した。

炭酸化養生装置の概要
CO2-SUICOMは、製造時に配合した特殊混和材とCO2が反応し、部材内にCO2を吸収・固定化する特長を持つコンクリート。
設置した炭酸化養生装置は、コンクリート打設後に所定の品質が得られるように、コンクリートを一定期間保護する「養生」の過程において、強制的にCO2を吸収させる「炭酸化養生」を行うためのものである。同装置は、長さ6m×高さ2.5m×幅2.4mの密閉式の「炭酸化養生槽」ならびに、温度・湿度・CO2濃度を調整した空気を吹出し口から養生槽内に吹き込み、吸込み口から回収して循環させる「養生環境制御装置」で構成される。養生槽内部の環境を適切に管理することで、部材内にCO2を効率的に吸収させることができる。また、養生槽内にはスライドレールを備え、長尺の部材をそのまま収めることが可能である。
(詳細は、https://www.kanazawa-it.ac.jp)