May, 17, 2022--GE Aviationはロヤン(シンガポール)センターにて金属積層造形技術で商用ジェット部品の修理を行うと発表した。
GE Aviation(GE AESS)シンガポールのエンンジンサービス部門は1,700名が勤務し、同社が担う世界からの修理受注量の60%以上が集中する。
部品の摩耗率が異なるため個々に合わせた修理が必要であることから、積層造形(AM)はエンジン部品修理に適している。また、GE Additiveのコンセプト・レーザM2シリーズを導入し、GE Aviationは航空部品修理に要する時間が半減したとしている。既にGE AESSはGE AviationのCF6エンジン(同社ベストセラーの広胴型機向け商用エンジン)の部品修理に金属3Dプリンター使用しており、CFM56(商用航空史上最も売れているエンジン)部品の修理にも同技術の適用を計画している。
金属積層造形技術をエンジン部品修理に応用する際、GE AESSは高圧コンプレッサーブレードチップの修理プロセスを自動化した。このプロセスは高速且つ厳しい公差で作動し、継続した修理・交換が必要な一定のエロージョンが体験できる。GE AESSは、同施設は高圧コンプレッサーブレード向けに積層造形技術を用いた修理を実現する、世界初の認可MROセンターだとしている。
従来、こうした部品の修理には、正しい形状を製造するために切断・溶接・研削のプロセスを要す。しかし、同社は現在、画像解析ソフトウエアを駆使して、使用されていたブレードの形をマッピングし、コンセプト・レーザM2向けにカスタムされたインストラクションを作成している。新しいチップを正確な配列と外形で製造できるだけではなく、作業と機械加工の時間・コストの削減も可能だ。この3Dプリント部品はニアネットシェイプで、必要となるのは最小限の追加加工のみである。
GE AESSのマネージング・ディレクターであるIain Rodger氏は「従来の修理プロセスに比べ、生産性が向上したため、一日に二倍の量の部品を修理できる」と述べた。「後処理に必要な備品も少なくなり、必要な床面積の三分の一を減らすことができた。コンプレッサーだけではなく、タービン部品などの修理も査定中だ。修理部品の返却が迅速になるため、顧客には違いを分かっていただけると思う」。
積層造形技術を用いた修理プロセスのロールアウトにおいて、シンガポールのGEチームはシンシナティの航空チーム及びリヒテンフェルスの添加剤チームと定期的に連携を取ってきた。欧米チームがコンセプト・レーザM2のパラメータを開発する一方、シンガポールのチームは修理プロセスを「堅牢で生産しやすい」ものにするために必要な改善に焦点を当てた。
シンガポールのこのチームは、部品の準備・造形を効率的に行うツーリングを設計し、修理プロセスに前処理・後処理及び検査機能を追加した。実用化前には品質と安全性を確保するために広範囲な試験が行われ、自動粉体リサイクルシステムなど試験生産ラインも設けられた。新型コロナウイルスにより進捗に支障はあったものの、ロヤンのチームは2021年には本格的な生産ラインを稼働する準備を整えた。
GE Aviationのシンガポールエンジンサービス部、シニア・エンジニアリング・マネージャーShih Tung Ngiam氏は「積層造によってスピードと生産性がもたらされ、必要なフロアスペースも削減できる」と述べた。「私たちはどうすればM2シリーズを最善な形で他の修理ラインに統合できるかを、慎重に検討した。修理プロセスのどの部分を残すのか、積層造形技術の恩恵を受けられる部品は何か、修理プロセスに他にどのような変更を加える必要があるのか、そうした査定は完了している」。
国家ハイテク戦略の一環として、航空整備向け積層造形技術の国内導入における初期開発試験とトレーニングは、シンガポール経済開発庁の支援を受けた。
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