May, 9, 2022, Milano--われわれの脳活動を最もよく再現する、次第に複雑化する現実的な3Dプリントされた脳オルガノイドの開発は、神経疾患の研究への貢献がさらに進んでいる。これは、ヒュマニタス神経発生研究所(Humanitas Neurodevelopment Laboratory)に関わるプロジェクトの目標である。コーディネータは、ミラノ工科大学(Politecnico di Milano)機械&科学学部のDr. Simona Lodato。代表は、それぞれBianca Maria Colosimo 教授とDavide Moscatelli.教授。
同プロジェクトは、Cariploが25万ユーロを助成しており、ミラノ工科大学の研究者、Mattia Sonchioniがヒュマニタスの若手研究者Monica Tambaloと協力して調整役となっていた。目的は、ピット・ホプキンス症候群(PTHS)に内在するメカニズムの研究。この稀な神経発生遺伝病は、新生児に影響を及ぼし、重度の認知障害、反復的癲癇発作、呼吸合併症の原因となる。
Dr Simona Lodatoの説明によると、このプロジェクトは、すでに進行しているミラノ工科大学との協働の一部である。「医療や生物学分野に技術的イノベーションを起こすことは、多様な領域間でますます必要になっている知識の伝達である。われわれの神経発生研究所では、脳オルガノイドを作ることができる。つまり患者由来の多能幹細胞からの3D細胞モデルである。これはヒトの脳発生の重要な特性を再現する。われわれは、ピットホプキンス症候群にバイオバンクの細胞を使う。これは、その病気に内在する遺伝子突然変異を示している。次に、これらの細胞を、人の大脳皮質の多様なニューロンやグリア細胞を生成することができる神経前駆細胞に分化させる。これらの細胞は、バイオリアクタ内に浮遊状態で成長し、自発的に互いを組み立ててアクティブな神経回路を備えた球状オルガノイドを形成する。しかし、これらのオルガノイドには、血管新生システムがなく、大脳皮質の高度なアーキテクチャを忠実に再現することができない。ミラノ工科大学との協働は、われわれの脳、あるいは他の臓器にますます似ているだけでなく、自給自足で精巧でもあるオルガノイドを作るという課題をかなえることになる。
研究者、Monica Tambaloは、「ミラノ工科大学は、実に、患者の細胞から初めて分化したニューロンの開発をサポートできる生体材料を特定する研究を実行している。加えて、われわれの研究者は、通常の3Dプリンタとは違う3Dバイオプリンタを持っている。これはプリンティング材料として生体模倣インクを使用する。つまり特定の細胞成分に適合しているのである。われわれは、Bio-inkで様々な細胞成分のマルチプリンティングを確実にするように取り組んでいる。高分解能で装置にロードされ、同時にその実行可能性と生体機能を保持する。われわれが獲得したいことは、数ミリメートルオーダーの‘バイオプリントされたオルガノイド’。これは,根本的な血管新生システムを備えており、そこではわれわれは、ますます臓器/組織の研究に適した複雑な形状を実行できる。
Dr Simona Lodatoの結論は、「目標は、プロトタイプを作ること。この場合は、ピットホプキンス症候群に苦しむ患者の細胞からスタートする。これは、他の神経発生疾患、神経疾患の研究にも利用できる。われわれが既知の病気についてますます多くの情報を獲得できるようにするロバストなシステムの開発が重要である。これは、その根本にある変化したメカニズムを特定しようとするために行われる、おそらくは新しい介入戦略の設計のためである。これにより、研究室で得られた知見と臨床診断との距離を縮める。患者の健康とQOL改善が目的である」。
(詳細は、https://www.hunimed.eu/)