April, 1, 2022, Vancouver--ブリティッシュコロンビア大学(UBC)研究者は、人の精巣細胞を3Dプリントし、精子生産能力の有望な早期兆候を確認した。
UBC泌尿器学准教授、Dr Ryan Flanniganをリーダーとする研究チームは、その技術がいずれ、現在治療不可能な病態、男性不妊で生活する人々にソリューションを提供すると考えている。
「不妊は、カップルの15%に影響を及ぼしており、男性の要因は、少なくともその半分に寄与する原因である」(Dr Ryan)。
「われわれは、これらの細胞を、人体構造を模擬した非常に特殊な構造に3Dプリンティングしている。われわれの考えでは、これは、精子の製造を刺激するベストのショットである。成功すれば、これは、現在、他の選択肢がないカプルに、新しい不妊治療の扉を開くことになる」。
人の睾丸内で、精子は、精細管として知られる微小なチューブで生産される。男性不妊のほとんどの重傷型、閉塞性無精子症(NOA)では、精子が精液に見つからない。これらの構造内で精子生産が低下しているためである。
場合によっては医者は、手術により極めて稀な精子を見つけ、NOA患者を助けることができるが、Dr Ryan Flanniganによると、この手術の成功率は約半分にすぎない。
「残念ながら、他の半分の人々には、精子を見つけることができないので、選択肢はない」。
その人々が、Dr Flanniganのチームが助けたいと考えている患者である。
最近の研究で、研究チームは、NOAで生活している患者の睾丸から幹細胞を採取する生検を行った。その細胞を、次に成長させ、ペトリディッシュに3Dプリントして、精子を生産する精細管に似た中空管状構造物に入れる。
プリンティングから12日、チームは、その細胞が生存していることを確認した。それだけでなく、精子の製造に関わるいくつかの特殊な細胞に成長し、精原細胞幹細胞の維持の大きな改善を見せていた。両方とも精子製造力の早期兆候である。これらの研究成果は、Fertility and Sterility Scienceに発表された。
「それは大きな到達点である。これらの細胞が生存し、分化し始めている。先はまだ長いが、大きな希望が持てる」とDr Flanniganは話している。
チームは現在、プリントされた細胞が精子を生産するように「指導」しようとしている。これをするために、チームはその細胞を様々な栄養素や増殖因子に触れさせ、構造配列を微調整して、細胞間の相互作用を促進しようとしている。
その細胞に精子を生産させることができると、その精子は体外受精で、卵子を受精させることができるので、カップルに新たな不妊治療オプションを提供することになる。
Dr Flanniganの研究プログラムは、NOAに貢献する遺伝的および分子的メカニズムに新たな光を当てている。チームは、様々な単細胞シーケンシング技術を使って、遺伝子発現や個々の細胞の特性を理解しようとしてきた。さらにこのデータのコンピュータモデリングを適用して、状態の根本原因の理解を高め、新しい治療オプションを特定しようとしている。研究は、極めて共同的である、UBC研究者コンピュータサイエンス、数学や工学、また国際的協働も巻き込んでいる。
「ますます、多くの異なる不妊の原因がありそうなことが分かってきている。また、個々の例は非常に患者特有である。それを念頭に置いて、われわれは個人化、精密医療アプローチを採用する。患者から細胞を採取し、いかなる異常性が患者に特有であるかを理解しようとしている。次に、それら原初の欠陥を克服するような方法でその細胞を3Dプリントし、サポートする」とDr Flanniganはコメントしている。
(詳細は、https://news.ubc.ca)