December, 12, 2021, Jerusalem--Technionの組織工学専攻、Shulamit Levenberg教授をリーダーとする研究チームは、移植組織に血液を供給するのに必要な階層的血管網の作製に成功した。
最近Advanced Materialsに発表された研究では、Dr. Ariel Alejandro Szklannyが、大小の血管作製に3Dプリンティングを利用し、両方の機能的組合せを持つシステムを初めて形成した。そのブレイクスルーは、テクニオン生体医用工学学部のLevenberg教授の幹細胞、組織工学研究室で実施された。
人体では、心臓が大動脈に血液を押し出す、大動脈は次第により細い血管に枝分かれし、全ての組織や臓器に酸素と栄養素を輸送する。移植組織は、同様の血管のサポートを必要とする。したがって、移植のために作られた組織も同様である。今日まで、階層的血管網を持つ人工組織による実験は、まず健康な手足に移植する中間段階を必要としていた。ホストの血管が組織に浸透するようにするためである。次に、その構造を患部に移植する。Dr. Szklannyの新しい成果により、中間段階は不要になる可能性がある。
個人化医療への重要な一歩
血液供給に必要な全ての血管の組織弁をラボで作るために、Dr. Szklannyは、2つの技術を組合せ、拡張した。まず、3Dプリンティング技術を利用して、大きな血管を模擬する有窓ポリマスカフォールドを作った。有窓は、中空管の作製だけでなく、より小さな血管を人工大血管に接続する側面開口部を持つ管としても機能する。コラーゲンバイオインクを使い、組織がプリントされ,スカフォールドの周りにアセンブリされた。内部に微小な血管網が形成される。最後に,大血管スカフォールドは、内皮細胞で覆われた。内皮細胞は、身体の全ての血管内部層を構成する細胞タイプである。インキュベーション1週間後、人工内皮は、小さな3Dバイオプリントした血管と機能的に相互接続を形成し、ヒトの血管の階層構造を模擬していた。
結果としての構造は、次にラットに移植され、その大腿動脈に取り付けられた。それを通して血流が、われわれが望んでいたとおりになった。血流は血管網を通して広がり、構造の末端まで届いた。また、血液は、血管から漏れることなく、組織に供給された。
留意すべき興味深い点は、以前の研究がスカフォールド形成の動物からのコラーゲンを使っていたが、ここではイスラエルの企業、CollPlantがタバコ草を使ってヒトコラーゲンを作った。これは、血管組織構造の3Dバイオプリンティングに使うことに成功した。
この研究は、個人化医療への重要な一歩を構成する。必要となる正確な形状の大血管は、移植が必要な組織とともにプリントされ、移植できる。この組織は、患者自身の細胞を使って形成できるので、拒絶反応リスクはなくなる。
(詳細は、https://www.technion.ac.il/)