January, 11, 2022, Zurich--ETH-Zurichの研究者は、セルロース繊維と生分解性ナノ粒子からゲルを製造した。これは、3Dプリンタのノズルから押し出されると液化するが、直ぐに元の形状に戻る。その発明は、個人化生体材料インプラントに道を開く。
医療が精密医療への方向を見せており、治療が患者の遺伝子構造に調整されるようになる。それと同じように、近年、材料科学者の精密な生体材料への注目が高まっている。しかし現状では、個人化インプラントはまだ先の話である。
「とは言え、当座、われわれは、この目標に向かって大きく前進している。また、その過程で多くのことを学んでいる」とETH-Zurichの機械工学、プロセス工学部マイクロ分子工学教授、Mark Tibbittは話している。
トゥースペイスト問題
以前、精密生体材料分野で研究していたものは、アプリケーション毎に3Dプリンタ用の新しいインクを開発しなければならなかったという事実に引き戻された。
「例えば、目の一部を複製したいなら、耳のプロテーゼをデザインする人の成果を利用することはできなかった」とTibbittは説明する。しかし最近、研究チームは、汎用キャリアインクを開発した。これは、新しいアプリケーションの開発を「飛躍的に簡素化」する。
基本的に、3Dプリンティングは、さりげなく「トゥースペイスト問題」と言われる困難な問題の解を必要としている。トゥースペーストは、一方で、粘性が強すぎてはいけない。チューブの狭い口から絞り出すことができないからだ。他方で、流動性が強すぎてもいけない。歯ブラシから、直ぐに垂れてしまうからである。同様に、3Dプリンティングでは、キャリアインクは、プリンティングノズルから流れ出るように液化する必要がある。次に、プリントされた構造が、直ぐにその形状を失わないよう固化できなければならない。
一時的ネットワーク
これは、チームが開発した汎用キャリアインクが役立つところである。それは、生分解性ポリマナノ粒子と結合した水溶性のセルロース繊維で構成されている。外圧がなければ、その繊維は粒子に付着している。これが、一時的ネットワークを作る。プリンタノズルの高い剪断力によって破壊可能であるが、その狭い開口部を通ると直ぐに再形成される。
さらなる実験で、チームは、その新しいキャリアインクに様々なポリマ(ヒアルロン酸、ジェラチン、コラーゲン、フィブリノゲン)を加えた。これら第2のポリマは、プリンタノズルのヘッドを通ってもインクの流動性状を変えなかったが、研究チームは、その一時的ネットワークを固化して、第2の継続段階でプリント構造を形成できた。
薬剤投与システム
研究チームは、キャリアインクの中での生きた細胞の挙動をテストした。外でするのと同数の細胞がインクの中に生存していることを確認した。疎水性物質をナノ粒子に導入できること、さらに親水性物質をセルロース繊維により水相に加えられることに基づいて、研究者は、そのインクが、新しい薬剤輸送システムの開発に適していることを実証した。幅広い範囲のアプリケーションでの利用適合性により、3Dプリンティング用に開発したインクを「汎用」と呼ぶことは、全く誇張ではない。
(詳細は、https://ethz.ch)