October, 3, 2023--トヨタ自動車株式会社は、米ヒューレット・パッカード社(HP)の3Dプリント技術「Multi Jet Fusion」を、「レクサスLC500」の純正オプションパーツであるオイルクーラーダクトの積層造形に使用している。
国内自動車メーカーの純正オプションパーツとして3Dプリント製品が採用されるのは、日本で初めての事例とされている。
この部品を製造しているのは、エンジニアリングサービスを提供するSOLIZE株式会社である。SOLIZEは2022年に、交換部品の3Dプリントでトヨタ自動車と提携し、現在は、3Dプリント部品を供給するトヨタ自動車の認定仕入先として登録されている。
部品供給メーカーとして同社は、トヨタ自動車と協力して、「トヨタ初の3Dプリント量産認定部品」と両社が呼ぶものの開発に取り組んでいる。この部品は、サーキット走行時の油温上昇を抑制することにより、オプションのオートマチックトランスミッション(AT)オイルクーラーを冷却する。これによって、滑らかなシフトチェンジと快適な乗り心地が実現されると両社は述べている。
同製品を開発する過程でトヨタ自動車とSOLIZEは、「持続可能な物理特性」を得るために、造形条件設定の試行と材料検証を何度も繰り返したという。また、コストメリットを最大限に引き出すために、部品の設計と造形配置の最適化を行う一方で、金型を使用しないことで、サプライチェーンの効率化も図った。大量の金型の管理コストとメンテナンスは、自動車業界の「深刻な問題」とされている。
供給メーカーとして認定されるためにSOLIZEは、環境整備、工程管理、人材教育の体制を構築する必要があった。このオイルクーラーダクトの積層造形により、従来の製造方法による同数のオイルクーラーダクトと比べて温室効果ガスの排出量は37%減少すると、SOLIZEは報告している。
SOLIZEはトヨタ自動車とのこの取り組みに加えて、日産自動車の生産終了モデル「スカイラインGT-R」に対する交換部品の供給も、過去に成功させている。