October, 3, 2023--サム・デイヴィス
ドイツの鉄道会社であるドイツ鉄道(Deutsche Bahn)は、米エッセンティアム社(Essentium)の「High Speed Extrusion」(HSE)技術に基づく3Dプリントプラットフォームと材料を、鉄道車両の部品と工具用に使用することを認定した。
ノイミュンスターの施設で使われているHSEプラットフォームは、エッセンティアム社の難燃性熱可塑性プラスチックである9085とHTN-CF25を使用した試験を経て、AM製造の品質保証規格であるISO/ASTM 52920:2023とISO 52920に準拠することが確認された。
これらの試験に合格したことを受けてドイツ鉄道は、HSEプラットフォームを使用して、部品や工具を迅速かつ効率的に置き換えることにより、鉄道車両の可用性を高めることができると確信している。それは、サプライチェーンの問題や、旧式部品の原材料不足の問題の解消に役立つ見込みだ。
エッセンティアム社のHSE技術は、約1000種類ものスペア部品の図面が格納されたデジタルウェアハウスと連動する形で使用される。ドイツ鉄道はHSEを使用することにより、部品を必要以上に量産して物理的な倉庫に大量の在庫を抱える代わりに、少量をオンデマンドで生産することができる。これによって同社は、コストを削減しつつ、供給スピードを上げることができるはずである。
180℃の耐熱性を備え、信頼性、再現性、性能の業界標準を満たす、エッセンティアム社の高温熱可塑性プラスチックも、ドイツ鉄道が必要な規格を今後も満たし続けるために役立つと考えられる。
「積層造形は全盛期に向けた準備が整っているのかという点について、多くの人々がまだ疑問視している。ドイツ鉄道は、数万点もの鉄道車両用の交換部品を3Dプリントして、それを証明している」と、エッセンティアム社の最高経営責任者(CEO)を務めるブレイク・テイペル博士(Blake Teipel)はコメントした。「ドイツ鉄道のAM能力を高めて、修理の迅速化を図り、最小限のダウンタイムで同社アセットの運用性を維持することを楽しみにしている。この提携は、鉄道と運送業界の他の企業が後に続ける道を切り拓くものである」(テイペル氏)。
ドイツ鉄道は、最終使用部品やスペア部品に3Dプリントを活用する、業界を主導する企業の1社である。スペア部品に関しては、積層造形が適していることをかねてから主張していた。エッセンティアム社は、この種の目的に同社技術を適用した経験があり、第101 AFR海上航空国家警備隊(101st AFR Marine Air National Guard)が2022年12月に、交換部品に対してHSEを活用していた。