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アーサ・メジャー社、3Dプリントのロケット推進技術を対象としたAmerica Makesとの提携を拡大

August, 21, 2023--「アーサ・メジャー社が、われわれのヤングスタウンのエコシステムに加わったのは素晴らしいことだ」

オリバー・ジョンソン

アーサ・メジャー社におけるロケットエンジンのテスト

ロケット推進に特化した民間企業である米アーサ・メジャー社(Ursa Major)は、3Dプリンティングの実用化を研究する産学官共同組織America Makesからの追加出資を受けたことを発表した。同社は2021年に、Ursa Major Advanced Manufacturing Lab(アーサ・メジャー先進製造研究施設)をオハイオ州ヤングスタウンに設立して、America Makesとの提携を開始している。

同研究施設は、NASA(米航空宇宙局)が開発した銅/クロム/ニオブ合金「GrCop42」をアーサ・メジャー社初の大規模3Dプリンターで使用する3Dプリント機能を開発し、液体燃料ロケットエンジン「Hadley」の真空バージョンの推力室を試作した。

アーサ・メジャー社とAmerica Makesは新しい契約の下で、2024年半ばまで提携を継続して、試作機から実機およびエンジン評価ハードウェアへと、プリント対象を移行する予定だ。

「当社の先進製造研究施設は、アーサ・メジャー社の積層造形能力に欠かせない存在で、エンジン製造工程の加速化に貢献している。ヤングスタウンのリソースにより、燃焼室の製造および納入サイクルを、6カ月から1カ月に短縮することができる」と、アーサ・メジャー社の最高技術責任者(CTO)を務めるブラッド・アッペル氏(Brad Appel)は述べた。

America Makesのエグゼクティブディレクターであるジョン・ウィルクジンスキ氏(John Wilczynski)は次のように付け加えた。「アーサ・メジャー社が、われわれのヤングスタウンのエコシステムに加わったのは素晴らしいことだ。防衛産業基盤に関連する製品の生産性向上とリードタイム短縮を目指す、われわれの協力体制が継続されることを大変うれしく思う」。

NASAが開発した合金の1つであるGRCop-42は、その高い熱伝導率と強度から、液体燃料ロケットエンジンの燃焼デバイスなどの高熱の用途に利用される。アーサ・メジャー社は、3Dプリントによってエンジン製造を加速化し、テストから得た改良点をリアルタイムに適用することが可能だと述べている。

アーサ・メジャー社によると、同社のロケットエンジンは、質量の80%以上が3Dプリントで製造されているという。

TCTは2022年にアーサ・メジャー社を取材し、同社初の3Dプリントの銅製ロケットエンジン部品について話を聞いている。