December, 15, 2021--
クオンティカ社が発表した、マルチマテリアル対応のインクジェット3Dプリンタ
ドイツのベルリンを拠点とするクオンティカ社(Quantica)は、ボクセルレベルの制御を備え、複数の超高性能樹脂のジェッティングと結合が可能な3Dプリントシステムを発表した。
新興企業である同社はFormnextにおいて、複数の色、強度、機能を備えるコンポーネントの3Dプリントを可能にする技術を開発したことを発表した。また、Xaar社の元最高技術責任者(CTO)であるレーモン・ボレル氏(Ramon Borrell)を、同社のCTOに任命した。
クオンティカ社のインクジェット3Dプリントプロセスには、プロプライエタリなプリントヘッド技術が採用されている。プリントヘッドには24のノズルが装備されており、他のマルチマテリアルジェッティング装置の15倍の粘度を持つ樹脂を処理できるという。その斬新なプリントヘッド構造により、機能的特性を備える樹脂をSLA/DLP方式でプリント可能で、マルチマテリアルの最終使用部品の可能性を開くと、同社はしている。クオンティカ社の3Dプリントシステム「T1 Pro」は、2~6個のプリントヘッドが装備可能で、STL、OBJ、VRMLの各ファイル形式をサポートする。
この技術は、口腔内での永続的な使用が承認されている、複数のクラスII医療機器材料を組み合わせたプリントによって既に実証されている。同社は、最大6つの材料を組み合わせて永久使用の歯科用器具を製造することを目指す、ある企業と共同開発契約を結び、この技術実証を行った。クオンティカ社は、さまざまな分野にわたる「超高粘度のマルチマテリアルの応用」を目指す、研究者や産業界の研究開発チームに対しても、同社のプリントシステムを提供している。
クオンティカ社の最高経営責任者(CEO)を務めるクラウス・モーズホルム氏(Claus Moseholm)は次のようにコメントしている。「インクジェットは長い間、2次元を対象とした従来型の産業印刷に採用されてきた。当社はこの技術を、量産用途にも適用することを目指している。そうすれば有意義な価値を加えることができる。多くの利用者にとって有意義な製造を可能にするプラットフォームとするには、ツールボックスの開発に関与してくれる適切なパートナーが必要で、当社はこの目的に向けて、さらに多くの産業パートナーを探している」。
一方、新たにCTOに就任したボレル氏は、次のようにコメントした。「インクジェット技術戦略コンサルタントとしてクオンティカ社に6カ月間務めた経験から、同社技術の広大で変革的な可能性をますます確信するようになった。はるかに大規模で潤沢なリソースを備えた企業からも、非常に興味深いオファーがあったが、魅力的な技術および経営課題、活力と起業家精神にあふれる企業文化、インクジェットの次なる大きな成長に向けた冒険を直に体験できるかもしれないという期待感から、クオンティカ社を選んだ」。
オリジナルコンテンツ:TCT Magazine International
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