October, 25, 2024--3Dバイオプリントと宇宙での製造は、NASA(米航空宇宙局)のSpaceX Crew-9ミッションによって実施される複数のプロジェクトの焦点である。Crew-9ミッションで打ち上げられた米スペースX社(SpaceX)のクルードラゴン宇宙船Freedomは米国時間9月29日、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングした。
5カ月間にわたるこのミッションでは、米国のISS国立研究所(ISS National Laboratory)がスポンサーとなっている複数の調査が行われる。これらの調査は、地球上の生活にメリットをもたらすと考えられる、数百件もの宇宙ベースの研究プロジェクトの一部である。
ISSのクルーは、米国立科学財団(National Science Foundation:NSF)が資金提供する4つの調査をサポートすることになっている。調査で使用する物資は、今後の商業補給サービスミッションで打ち上げられる予定である。そのプロジェクトの1つが、オレゴン州立大学(Oregon State University)とテキサス工科大学(Texas Tech University)が共同で実施する、心臓の健康に焦点を当てた3Dバイオプリントの調査である。がん、筋疾患、筋ジストロフィー、糖尿病、敗血症、心不全などの症状で生じる心筋萎縮をより深く理解することを目的に、3Dバイオプリントの心筋オルガノイドを使用して、微小重力によって生じる心筋細胞の萎縮を研究する計画である。
ISS国立研究所がスポンサーとなり、NASAが資金提供する複数のプロジェクトは、宇宙での製造にも焦点を当てている。米ナノラックス社(Nanoracks)が支援する、マルタ芸術科学技術大学(Malta College of Arts, Science, and Technology:MCAST)のプロジェクト「ASTROBEAT」では、熱を使わない溶接方法の試験が予定されている。この溶接方法は将来的に、宇宙プラットフォームを安全に修理して、その長期的な持続可能性を確保するために利用されて、深刻化する宇宙ごみの問題の解消に役立つ可能性がある。この実験では、遠隔操作の冷間溶接によって、模擬宇宙船の船体サンプルに金属パッチを適用する試験を行う予定である。
欧州宇宙機関(European Space Agency:ESA)は8月、蘭エアバス社(Airbus)、仏アッドアップ社(AddUp)、伊ハイフテック社(Highftech)、英クランフィールド大学(Cranfield University)と共同で、ISSの微小重力環境での初めての金属3Dプリントに成功したことを報告している。5年間にわたるこの「Metal3D」プロジェクトは、部品のより迅速な交換や、新しい部品の製造を可能にして、物理的な部品を宇宙に輸送する必要性をなくすと考えられている。ISSでは現在、2014年から設置されているポリマー3Dプリンタによって、部品のプリントが行われている。