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線形加速器用に銅コンポーネントを積層造形

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January, 7, 2022, Dresden--新世代の粒子加速器の狙いは、ガン治療、創薬、材料分析を高いレベルに上げこと。線形加速器は、非常にコンパクトであるので、より小規模の病院、空港、研究所でも利用可能になる。
 この開発をサポートするために、Fraunhofer IWSは、スイスのCERN、ラトビアのRiga Technology University (RTU) およびPolitecnico di Milano (PoliMi)とともに、レーザベース3Dプリンティングに注目している。I.FASTプロジェクトの一環として、加速器の強化を目標とし、EUのHorizon 2020が共同出資している。研究者は、世界で初めて、線形加速器に必須の4重極コンポーネントを純銅から積層製造することに成功した。

この成功は、商用生産、高周波RF 4重極(HF-RFQ)で動作するシステムの実用用途に新たな展望を開く。これらのシステムは、例えば、空港での麻薬や武器の検査改善、自動化のために使うことができる。研究者は、3D銅プリンティングに大きな可能性を見ている。「このアプローチにより、われわれは、製造時間を大幅に短縮できる」とFraunhofer IWSの純銅と銅合金の積層造形専門家、Samira Gruberは予想している。例えば、高速試作が可能になり、将来の加速器技術開発を促進する。加えて、積層造形は、材料の節約になり、古典的プロセスと比較して銅資源消費を減らす。

4重極加速器
これらのコンパクトな加速器がより広く採用されると、そのような議論が主流になる。CERNで開発された新技術に基づいた高周波4重極が、この新世代ファシリティの主要コンポーネント、ペースメーカーになるからである。4重極では、4つの交替する分極電極が向き合い、中心粒子軌跡の周りでペタル(花びら)のように整列される。ユーザが、交流電圧を印可すると、急速に変化する電界が現れる。これらの電界が、波のように揺れる電極チップ間の粒子を波乗りさせ、粒子は、「電極ペタル」を通過する毎にますます光の速度に近づく。通常の巨大な地下加速器と違い、これら線形加速器が占めるスペースはリビングルーム程度である。

コンポーネント最適化でグリーンレーザが不可能を可能にする
 同システムは、長期運転中に大量の熱を発生するので、4重極は純銅製になっている。この金属は、並外れて電気および熱伝導性が優れている。しかし、これまで、4重極の製造は、非常に複雑だった。半製品形状に粉砕し、次に非常に多くの個別パーツをアセンブリする。したがって、Fraunhofer IWS, RTU および PoliMiの研究者は、別の可能性を開発した。研究チームは、グリーンレーザで純銅粉末を溶かした。この溶融金属から、4重極の1/4セグメントを形成する。そのプロセスで、コンポーネント強度に不要な箇所の材料を節約する。他方で,従来の金属加工法では、このコンポーネント最適化法は、非常に時間がかかり、場所によっては、全く実現可能性さえない。結果的に、その新製法により、銅消費を減らし、一日以内にアセンブリできる軽量4重極セグメントが得られる。

グリーンレーザ粉末床溶融システムの構築量の増加により、いずれ、全4重極セグメントが3Dプリンティングで製造可能になる。しかし、現在製造される1/4セグメントもすでに次のプロジェクトフェーズに可能性がある。例えば、積層造形されたコンポーネントは、粗い表面トポロジーである。したがって、プロトタイプは、3Dプリンティング4重極が、続いて、例えば、プラズマ、電気化学あるいはレーザ研磨で滑らかにする必要があるかどうか、どのようにするかを分析しなければならない。プロジェクトアジェンダは、加速器の小さな磨耗損傷が、全コンポーネントをスクラップする必要なく、後でAM技術で修復できるかどうか、どのようにするかを決めるテストも含んでいる。「加えて、他のどんな材料やコンポーネントが、加速器用に積層造形に考えられるかも研究するつもりである」とSamira Gruberは説明している。

用途には,陽子線治療と自動薬剤検出が考えられる
 煎じ詰めると、線形加速器は、素粒子物理学者の興味にとどまらない。医療応用分野では、特に腹部や脳の潜行性腫瘍に対する陽子線治療、医療アイソトープ製造に利用できる。CERNは、4重極加速器の他の用途を研究している。これには、芸術傑作の検査目的で材料分析も含まれる。加速器は、大きな市場機会を持つ。カリフォルニア産業専門家、Robert HammとMarianne E. Hammは、2012年の「産業加速器とそのアプリケーション」分析で、世界中に現在、約30000の加速器が存在すると推定している。同調査によると、世界中の企業や研究機関は、これらのシステムを使って、年に5000億ドルの産業製品を製造、分析している。

(詳細は、https://www.iws.fraunhofer.de)