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デスクトップメタル社、D2ツール鋼を「Production System」の3Dプリント素材に追加

December, 15, 2021--1
バインダージェッティングにより、石油・ガスや化学処理の用途で使用されるカムを、単一のプリント工程で製造することができる。

米デスクトップメタル社(Desktop Metal)は、同社の「Production System」で積層造形可能な金属のリストに、また1つ新たな材料を追加した。

同社は、ASTM 規格の試験要件を満たすとして認可されているD2ツール鋼を、Production Systemで造形可能な材料のポートフォリオに加えたことを発表した。このポートフォリオにはこの他に、ニッケル合金IN625、4140低合金鋼、316Lステンレス鋼、17-4PHステンレス鋼が含まれている。

「当社の材料科学チームは、3Dプリントをあらゆる業界と用途で利用できるようにするために、新しい材料とプロセスの開発に絶えず取り組んでいる」と、デスクトップメタル社の共同創設者で最高技術責任者(CTO)を務めるヨナ・マイヤーバーグ氏(Jonah Myerberg)は述べた。「D2ツール鋼のように、重要な成形および切断工具の製造や、高い硬度が重要視されるその他さまざまな用途を実現する材料への対応を求める、製造業や産業に携わる当社顧客の需要に応えている」(マイヤーバーグ氏)。

D2ツール鋼は、多用途に対応する高炭素および高クロムの空気硬化工具鋼で、熱処理後の高い硬度と圧縮強度を特長とする。この工具鋼は、硬化状態における耐摩耗性、寸法安定性、耐食性にも非常に優れている。この材料にデスクトップメタル社のSPJ(Single Pass Jetting)技術を適用することにより、冷間金属成形の工具、ダイ、パンチや、コンフォーマル冷却チャネルを備えた射出成形金型など、高硬度と高温耐性が求められる部品の3Dプリントが可能である。

デスクトップメタル社は、重工業分野におけるこの材料の有用性を示すものとして、石油・ガスまたは化学処理の用途で、機械における回転動作から往復線形動作への変換に用いられるカムに、この材料を利用する事例を紹介している。従来の製造方法とは異なり、単一の処理工程でカムが製造できるため、部品コストとリードタイムの両方が削減できるほか、固定具や工具を用意することなく、さまざまなサイズのカムを単一のビルドで製造することができる。デスクトップメタル社によると、D2ツール鋼はこの用途に不可欠だという。その硬度と耐食性によって、スライドピンに機械的に接触するカムの耐用期間が確実に延長されるためだ。また、これらの部品は過酷な環境下で稼働する機械に組み込まれる場合が多いため、部品が劣化せずに意図したとおりに動作することを保証する上で、D2ツール鋼の耐食性が欠かせないとしている。

オリジナルコンテンツ:TCT Magazine International
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