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ヘキサゴン社、3Dプリント業界で「最も柔軟でオープンな」エコシステムを構築する計画を発表

December, 15, 2021--1
ヘキサゴン社は11月、指向性エネルギー堆積(Directed Energy Deposition:DED)を手掛けるSciaky社やMeltio社を含む複数の企業を、同社のエコシステムに新たに加えた。

ハードウェア、ソフトウェア、材料関連の数多くの製品発表が行われた2021年11月のFormnextにおいて、スウェーデンのヘキサゴン社(Hexagon)のManufacturing Intelligence部門は、そうした各要素を統合する計画を発表した。それによって、「業界で最も柔軟でオープンな積層造形エコシステム」が構築されることになると、同社は考えている。

ソフトウェアとオートメーションを専門とする同社は、ユーザーが効果的な製品開発および製造ワークフローを構築できるように支援するために、「高品質という共通目標を掲げる」オープンなエコシステムを構築する取り組みを、今後も続けていくとしている。このエコシステムには、Solvay社やCovestro社などの材料供給メーカー、Stratasys社やRenishaw社などの3Dプリンタや工作機械ベンダー、Authentic社やElise社などのソフトウェアメーカー、そして請負業者が名を連ねている。

ヘキサゴン社Manufacturing Intelligence部門の社長を務めるパオロ・グリエルミニ氏(Paolo Guglielmini)は、「『接続された』エンドツーエンドのサプライチェーンの構築を目指すインダストリ4.0とは大きくかけ離れて、今日の多くの3Dプリンタとプロトコルは、特定のCAEツールとの互換性を持たないハードウェアの『壁で囲まれた王国』を築いており、ベンダー各社は、競合他社の機械設備に対応するようには設計されていない、プロプライエタリな接続性、規格、プロトコルを備えた機械を導入している」と述べた。

「大規模メーカーが、オープンなファクトリオートメーションに向けた準備を推進したのと同様に、われわれベンダーにとっても今、壁を取り払って、さらなる柔軟性と効率をもたらす新しい製造技術を取り入れることが重要だ。これまでの体制に代わって、オープンなデータ規格を、成長のための実現要素としてみなす必要がある」(グリエルミニ氏)。

ヘキサゴン社は、このオープンな協調体制を通して、顧客が「新しいAM技術を既存のソリューション、ツール、ワークフローに統合」できるようにすることで、「性能、品質、再現性」に関する信頼の確立につなげたい考えだとしている。

ヘキサゴン社の積層造形関連の戦略およびグローバル事業開発担当ディレクターを務めるマシュー・ペルノー氏(Mathieu Pérennou)は、「継続的なオープン性を通して、われわれのエコシステムは、当社のパートナーと顧客の両方にメリットをもたらす。パートナーは、ヘキサゴン社の技術と専門性を活用しつつ、世界製造業界における当社の広範な顧客基盤を対象に、協調して問題を解決する機会を得ることができ、顧客は、その深い協調体制と能力の恩恵を受けて、それぞれの目的に完璧に合致する、真に最高級のソリューションに基づいて、ワークフローを構築することができる」と述べた。

「われわれは、AMの産業化と、高性能部品に対するそのメリットの実現を目指して、このエコシステムを拡大する取り組みを継続し、従来の手法に対する当社顧客の期待と同水準の品質を達成したいと思う。また、世界中のすべての工場で一貫した結果が得られるようにして、AMによるさらなる量産を可能にする必要がある」(ペルノー氏)。

この取り組みを推進するために、ヘキサゴン社は11月、Sciaky社、Meltio社、CADS Additive社、AMcubator社、Additive Center社という複数のベンダーを、このエコシステムに新たに迎え入れた。

CADS Additive社の技術ディレクターを務めるダニエル・スタドルマイヤー氏(Daniel Stadlmayr)は、次のようにコメントした。「ヘキサゴン社との協調関係は、業界全体に対してメリットがある。当社の顧客は、正確なビルドシミュレーション、材料の最適な利用、イノベーションに対する共通の情熱に支えられて、金属AMの非常に難しい設計課題を解決し、最大限の結果を達成することができる」。

同社はこの他にも、プリンタ製造を手掛けるDM3D社やGefertec社との連携など、DED技術の産業分野への応用を進めるための取り組みを発表した。また、3D Systems社と連携して、同社の設計ソフトウェア「3DXpert」をヘキサゴン社のジェネレーティブデザイン技術「HxGN Emendate」によって強化することも発表した。

オリジナルコンテンツ:TCT Magazine International
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